一目置かれる男と時計
~福岡ソフトバンクホークス
平石洋介コーチ × G-SHOCK「MT-G」

どれだけ優れたアスリートであっても、いつかは第一線から身を引く時がやってくる。そして新しいフィールドでの戦いが待っている。元プロ野球選手の平石洋介は、現役時代は目立った成績を収めることができなかったが、その後10年近くもコーチや監督という形で結果を残し続けている。つまり、いつでも"一目置かれる存在"であるということだ。彼を成功へと導いた思考は、実はG-SHOCKの在り方にも似ている。艱難辛苦の経験から導かれた哲学が、ぶれない軸を作る。それこそが、一目置かれる理由となるのだ。

38歳の若さで 監督就任が 実現した 理由とは――

現役生活を終えたプロアスリートにとっては、コーチや監督という仕事は、自分が愛した競技への恩返しができる最良の方法である。しかしそのポストは少ないため、誰もがそこにたどり着けるわけではない。"名選手は名監督にあらず"という言葉もあるが、野村克也や川上哲治、サッカーであればジョセップ・グラウディオラなど、名選手に名監督が少なくないのも事実。平凡な成績しか残せなかった選手が指導者として大成するためには、他者から一目置かれるだけのぶれない軸が必要になるだろう。

平石洋介は、球団が発足したばかりの東北楽天ゴールデンイーグルスに2004年に入団し、'11年に現役を引退する。しかし同年からコーチとなり、'15年には二軍監督に就任。そして一軍ヘッド兼打撃コーチを経て、監督代行。そして38歳で正式に監督に就任した。これは極めて異例なことである。

今季シーズン3位でチームをクライマックスシリーズ進出に導いたものの、1年契約満了によって監督を退任した。それでも、チームを退団した直後に、福岡ソフトバンクホークスから一軍打撃兼野手総合コーチ就任のオファーを受けて、それを受諾。その事実は、平石の人間力が周囲から認められていることを改めて証明したのだった。

福岡ソフトバンクホークス 平石洋介コーチ

「組織から求められる人材であり続けられる理由は、自分ではよくわからない。しかし、常に考えているのは"チームや選手がよくなるためにはどうするべきか"です。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、来年のことなど考えず、今やれることに全力に取り組み、自分の思いを相手に伝えるしかない。自分より年上のコーチもいますし、成績が優秀な選手もたくさんますが、結局は人間同士ですから、エゴを出さずに、"心"を伝えることに尽きるのです」

穏やかに平石洋介は語る。彼は幼少期からハイレベルな野球チームの所属し、世界大会でも活躍してきた。そういったチームの多くで、彼はキャプテンを務めてきた。

「誰よりも野球が好きだという自信はあります。プレーするだけでなく、見るのも考えるのも好き。だから"野球脳"が鍛えられたのでしょう。しかも学生時代からケガに悩まされてきたので、ケガに対する知識やケアの方法も学んできた。挫折ばかりの人生ですが、そういった経験が指導者として役立っているのは事実です。選手を指導する際も、頭ごなしに押し付けるのはよくない。選手が納得し、行動できるように伝え、理解させることを意識しています」

こういった揺るぎないマネージメント能力が、一目置かれ続ける理由の一つであるのだろう。

福岡ソフトバンクホークス 平石洋介コーチ

そんな男がG-SHOCKを愛用するのは、必然かもしれない。1983年に誕生したG-SHOCKだが、開発時は社内からさほど期待されず、発売後も鳴かず飛ばずの日々が続いた。それでも耐衝撃性能を守り抜いたことで価値が生まれ、今ではグローバルブランドとして地位を確立している。G-SHOCKもまた、揺るぎない個性を磨いてきたのだ。

「若い時はアクセサリーも含め、時計をつけることはありませんでした。しかしこの数年で立場が変わり、人から見られる状況になったこともあって、時計を意識するようになっています。複数の時計を所有して使い分けるようにしていますが、G-SHOCKはその中の一つで、試合中にもつけていましたね。個人所有するブラックのMT-Gに加えて、昨年の誕生日に選手やチームスタッフからプレゼントされたシルバーのMT-Gも愛用。実用的でありつつ、ファッション性も高いところが気に入ってます」

最新のMT-Gは、金属ケースにカーボン積層ベゼルを融合させており、さらに高級感に磨きをかけた。「大人が楽しむG-SHOCKという感じですね」と平石もその完成度に驚いている。

平石洋介もG-SHOCKも、エリートではない。だからこそ、自分の個性を磨く必要があった。そしていつしか、その個性は唯一無二の価値へと昇華する。そのぶれない軸がある限り、前進し続けることができるのだ。

福岡ソフトバンクホークス 平石洋介コーチ

Yosuke Hiraishi

1980年、大分県生まれ。PL学園高校、同志社大学、トヨタ自動車を経て、2005年に東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。'11年に現役を引退してからは、コーチとして楽天のフロントに入る。'18年のシーズン途中から監督代行を務め、'19年は球団史上初の生え抜き一軍監督に就任し、シーズン3位でクライマックスシリーズに進出。現在は、福岡ソフトバンクホークス一軍打撃兼野手総合コーチ。

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